税理士法人化のメリットやデメリット

様々なメリットが多い税理士法人化

税理士法人とは、2年以上の税理士を社員とする特別法人というように、法律によってさだめられています。

従来であれば税理士の業務を行うためには、税理士事務所や会計事務所などで個人で開業したり、勤務税理士になるかの選択しか存在していませんでした。

しかし2001年に法律が改正され、税理士法人設立の制度ができあがったのです。

税理士が法人化するための要件としては、社員が税理士に限られること、社員の数は二人以上であること、社員に税理士法上の欠格事由に該当する者がいないことの三つが挙げられます。

社員は会社役員のような位置付けとなり、税理士業の独占業務を行うことができる唯一の法人であること、2名以上の社員が必要となることが法人の大きな特徴といえます。

税理士法人化のメリットとしては、さまざまことが挙げられますが、まず第一に支店を設置できることです。

一つの支店に必ず一人以上の資格を持っている社員を在籍させなければなりませんが、税理士の数イコール設置可能な支店数ということになります。

個人税理士事務所の場合には、稼ぐ金額が増えるほどに税率も上がり、売り上げが年間で1800万円を超えた場合には、所得税と住民税を合わせた場合に税率が50パーセントを超えてしまう可能性もあるでしょう。

法人税は基本的に一律となり、すべてを合計しても36パーセント程度なので、節税が期待できます。

そして経費の範囲が広いこともメリットと言えるでしょう。

法人の場合には、給料を役員報酬という形で経費計上することができ、家族への給与や保険、社宅の賃料などに関しても、個人事業主と比べると経費計上できる範囲が広がるので、こちらも節税の効果が見込めます。

そして決算月を自分で決めることができるのもメリットと言えるでしょう。

個人事業の場合には、毎年三月に確定申告をすると定められています。

しかし法人の場合には決算期を選択することができ、万が一固定資産を売却するなどして多額の利益が発生した場合には、そこでいったん決算することによって、納税額を抑えることにもつながります。

 

法人化にすることで支店が持てる

個人事業の場合には退職金の制度は存在していませんが、法人化となった場合には、勤続年数や実績に応じ、退職金を支払うことができます。

退職金は所得税の計算上で優遇されているものなので、こちらもかなりの節税となるでしょう。

そして法人の場合には従業員は社会保険に加入することができます。

これは負担が増えることにもなるのでデメリットに感じる人もいるかもしれませんが、従業員を募集したいとなった場合には、社会保険が掛けられるということから、スタッフの求人も容易に扱いやすくなります。

そして個人事業の場合には、繰越し欠損金の期間は3年と定められていますが、法人の場合には9年と定められています。

また平成27年には法律が改正され、平成29年4月1日以降に開始した事業年度の欠損金額に関しては、10年間の繰り越し期間が設けられることになりました。

このように日本クレアス税理士法人などのように税理士法人化することによって、節税に関することや事業の拡大、ブランド化を容易にすることなどがメリットであることがわかります。

法人化しなければ支店が持てないことは、税理士行ならでは特徴と言えるでしょう。

支店の数が従業員の条件となるため、同じ志を持った者同士が集まれるかどうかが、事業拡大の成功のカギを握っているとも言えます。

また法人化することによって、一つの案件を複数の人数で共有することができるため、この点はクライアントにとっても安心感が得られることでしょう。

 

法人化にする場合手続きや事務作業の負担が増える

反対に税理士法人化には様々なデメリットもつきまとうことから、この点についてもしっかりと把握しておく必要があるでしょう。

まず最初に自宅の住所の変更や、入社や退社などのような社員の登録変更手続きを行う場合には、税理士法人の変更登記を法務局で先に行わなければならないことです。

また設立するためには登記手続きが必要となり、登記を行うためには名称や主たる事務所、法人設立の年月日、目的など様々な情報を記載しなければなりません。

法人は個人事業と比べた場合に、変更手続きに伴い、提出しなければならない書類も増えてしまいます。

変更や廃業の際にもすべての種類において届け出が必要となり、なかなか気軽に変更したり解散の手続きをすることが難しくなっています。

社会保険に関しては、加入する時だけどなく、年に一回保険料算定手続きが必要であり、これらの手続きにおいて事務作業の負担が増えることにもなるでしょう。

法人としての形をとるためには、手続きや事務作業の負担が増えることがわかります。

またこの内容も煩雑となってしまうことでしょう。

また特性上、複数の社員でパートナーを組んで経営しなければならないことも注意しなければならないことです。

万が一考えがあわなくなってしまったり、経営方針にずれが生じることがあり、様々な変更を余儀なくされた場合には、そのたびに書類の作成義務が生じることになります。

最悪の場合には解散の手続きを取らなければならず、将来をともに考えていけるパートナーと協力していくことが前提条件です。

最終更新日 2025年4月15日 by tokoto